元外国籍を理由にゴルフクラブへの入会を拒むのは法的に許されるのか。この点が争われた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は27日、入会拒否は「憲法や国際条約に違反し、人種差別に当たる」との判断を示した。片田信宏裁判長は原告敗訴とした一審・津地裁四日市支部判決を変更し、クラブ側に慰謝料など計77万円を原告側に支払うよう命じた。
原告は三重県桑名市の40代男性。男性は在日韓国人3世で、2018年に日本国籍を取得。22年に元韓国籍を理由に、愛岐カントリークラブ(岐阜県可児市)から入会を拒否され、精神的苦痛を被ったとして330万円の損害賠償を求めて提訴していた。
判決はまず、入会拒否の適否について「法の下の平等」を定めた憲法14条や日本も締結する人種差別撤廃条約の規定などと、憲法21条で保障した結社の自由とが適切に調整されているかという視点で考えるべきだとの判断枠組みを判示。同クラブの団体としての性格を検討した。
今年4月の一審判決は、ゴルフについて「社会生活を営むに当たって必要不可欠とはいえない」と指摘し、同クラブを「私的な団体」と位置づけた。その上で構成員の選択はクラブの裁量に委ねられているとして原告の請求を退けていた。
だが、高裁は同クラブは会員が約1500人に及ぶことや「ゴルフが一般的なレジャーの一つとなっている」と指摘。同クラブは「社会性を持った団体」とし、構成員選択の裁量権には「一定の限界が存在する」と判断。選択の基準が社会的に許容し得るものかどうかを考慮する必要があるとの見方を示した。
その上で、偏見や差別を受け…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル